メルツィヒ

翌朝はこれまでで一番靄の深い朝だった。
日が昇っていつもなら晴れる時間になってもまだ深い靄に包まれていた。出発の時間を遅らせて待つ。
ようやく少し靄が晴れてきてSigridur号は舫いを解いた。

もしかしたら今日の目的地が最終地点になるかもしれない。それはメルツィヒというところだ。候補地にはこれまで何度も期待を裏切られてきたが、今度こそMさんのお眼鏡にかなうことを祈る。


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【まだ少し靄が残るザール川】

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【ときおり濃くなったり薄くなったり】

この日の最初のロックはこれまでで最大だった。大小2列のロックが並んでいるのだが、私たちが誘導されたのは大きいほうだった。まるで戦艦大和でも入りそうな巨大な箱が口を開けて待っている。幅も高さも大きいし奥行きは200メートルぐらいありそうだ。

こんな馬鹿でかいロックに小さな小さなSigridur号が入っていいの?
しかもたったひとり(艇)で?
僕らだけのためにこれを満水にしてくれるの?
バージ船と相席になるのでは?
なにかの間違いじゃないよね?
不安を口にしつつ、Sigridur号を進ませた。

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心配は杞憂だった。
私たちだけのために、ざっと3万トンぐらいありそうなこの函体を満水にし、何十トンもあるだろう水門を開け閉めし、Sigridur号を通過させてくれたのである。もちろん通行料など取らずに。

ロックを出て、その謎が解けた。
出口にはスイスの観光船が待機していた。つまり、上流からこの観光船が下ってきたときにたまたまロックの水位が下がっていて、これから水門を閉めて満水にしようというところにSigridur号が下流から近づいてきたというわけだ。
言ってみれば「どうせ満水にするのだからついでにこのチビを通してやろう」ということなのだろう。
まあ理由はどうでもいい。貴重な体験をさせてもらった。


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【長さが200メートルぐらいありそうなスイスの観光船】

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さらに上流へと船を進め、ザール川の難所中の難所にさしかかった。
ここはヘアピンカーブになっていて、片側通行なのだ。バージ船などの長大船は湾曲部では川幅をぎりぎりいっぱいに使って周る。対向船がいたらアウトである。それで、ここに近づいた船は無線で対向船がいないことを確かめて通らなければならないのだ。
この難所をクリアしなければ私たちはメルツィヒに行けないのである。

ドキドキしながらMさんの交信を聞く。タイミングよくゴーサインが出たので、全速力でこのヘアピンを駆け抜けた。


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【遠くに展望台を兼ねた通信所が見える】

556-2
【展望台から見たヘアピンカーブ(Wikipedeaより拝借)】

ふだん冷静なMさんもこのときばかりは手に汗を握ったそうだ。
ここを抜ければあとは泊地までもうすぐだ。


557

そして期待の泊地「ヨットハーフェン・メルツィヒ・ザール」にやってきた。
果たしてここが旅の最終地になるのだろうか?


558
【Yachthafen Mertig Saar】

≪次へ≫


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