大地

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【大地(一)~(四) パール・バック作 小野寺健訳 岩波文庫】

ノーベル文学賞受賞作家、パール・バックの不朽の名作。

19世紀後半から20世紀前半の中国を背景に、貧農から財をなした王龍の生涯と、その3人の息子たち、さらにはその孫の世代へと受け継がれる長編物語。

題名が示すとおり、物語に一貫して流れるテーマは「土」すなわち「大地」であるが、それほど前面に押し出されているわけではない。さりげなく物語の芯を通しているだけだ。

物語は激動の時代を背景に王一家が変遷してゆくのを追うが、作者はこれをむしろ普遍的な家族の在り方ととらえている。世界中どの地域でもどの時代でも王一家のような家族のモデルは見出されるだろうと。
だからこそ世界中で読まれ名作の誉を得たのだろう。

また、王龍、王虎、王元の三代の男たちが主役として描かれるが、実は、阿蘭、梨花、美齢といった女性たちが脇を固めつつ陰の主役を果たしているような気がする。

作者のパール・バックは宣教師の両親とともに少女時代を中国で過ごした。その経験から、アメリカ人であるにも関わらず、この時代の中国の人々、生活、思想、因習等々、これほどまでに詳細な描写ができたのだ。

アメリカと中国とふたつの祖国を持つ彼女の微妙な立場は、王虎に反発してアメリカに留学し後に中国に戻って両国の文化の狭間に揺れる王元の心情に投影されているようだ。

感動の巨編、名作の名に恥じない。
知人に勧められて手にしたのだったがすばらしい本だった。感謝したい。

◎◎◎


第1部 大地(1931年)
第2部 息子たち(1932年)
第3部 崩壊する家(1935年)

※三部作を合わせて『大地』としているが、原題の『大地の家』(The House of Earth)のほうがふさわしいように思う。

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